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クロノグラフ190年の歴史

クロノグラフ190年の歴史 VOL.4 共通理念への取り組み

VOL.4 共通理念への取り組み

モンブラン・マニュファクチュール・ヴィルレの主要な使命の一つは、ミネルバの150年間にわたって蓄積されてきた高級時計の専門的な製造技術・知識を温存し、それをさらに発展させることにあります。そのためには、著名な機関と協力して継続的に若い時計職人を教育・訓練していくことが何より重要になります。この目的を果たすために、マニュファクチュールの社屋の屋根裏を改造して上階を作り、若い時計職人が経験豊富な職人から先人が開発した古き時代の技術・技法そして伝統を学べる場を設けました。

こうした若手と経験豊富な時計職人が集う部屋の窓からは、社屋がある町を一望することができます。また、モンブランは、世界中のオート・オルロジュリ(高級時計製造)の伝統を紹介するために、自身の社屋やその他の場所で展示会やフォーラム、そしてセミナーを開催しています。

(右写真)モンブラン・マニュファクチュール・ヴィルレの最上階から見渡せる村の景色

さらに、モンブランは「ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所」を設立しました。この研究所は、創造性豊かな若手の時計職人が手掛ける新進プロジェクトを支援し、そのプロジェクトの実現をサポートすることを目的としています。

伝統ある時計製造の本拠地で才能を育成

ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所が才能豊かな若手の時計職人を奨励するのは、彼らが持つダイナミズムや物作りにおけるイノベーティブ・スピリット(革新の精神)が、時計製造技術の未来に寄与すると考えるからです。このために、モンブランは、ある“構想”を立ち上げました。その名も「TimeWriter(タイムライター)」。

「TimeWriter(タイムライター)」の構想の下、モンブランは、組織に属さない、向上心のある意欲的な時計職人が進める創造的なプロジェクトをバックアップしています。実際、時計製造は、その技巧・技術が複雑なため、多大な投資が必要になり、その規模は若手起業家の限られた財力を超える場合が少なくありません。そこで、ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所は、モンブランとともに、時計製造にあたる野心的な若手起業家を対象に、経済的・技術的な支援の提供に努めています。

ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所は、2年毎に市場にないモデルの発表を計画しています。そして、研究所設立からわずか数年後、最初のモデルが発表されました。それは、「TimeWriter I ‐Metamorphosis (メタモーフォシス)」です。

METAMORPHOSIS - 1つの時計で2つの顔

オリジナリティ溢れる時計の設計・製造に伝統的な時計製造技術の原則を適用するにあたり、創意工夫に満ちたアプローチで臨んだ結果、誕生したのがMetamorphosis(メタモーフォシス)です。その機能・特徴は、ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所の理事会が深く感銘したほど、類まれな独自性に満ちています。2人の若い高級時計職人である、ジョニー・ジラルダン(Johnny Girardin)とフランク・オルニー(Franck Orny)が提出した製作プランは、ツインフェイス・タイプの時計に関するものでした。

ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所の支援を受けた最初の若手時計職人であるジョニー・ジラルダンとフランク・オルニー。

写真中央は「タイムライター」プロジェクトのテクニカル・ディレクターであるドメトリオ・キャビドゥ。

2人の若手時計職人が製作したメタモーフォシス・ウォッチは、2010年1月に国際高級時計展(SIHH)で発表された。

異なる機能を表示するために2つのダイアルを利用するこの時計には、一見したところ、特に目新しい点は何もありません。しかし、Metamorphosis(メタモーフォシス)の場合、時刻表示モードからクロノグラフ機能モードへ“変身”する際の方法がまさにユニークなものになっています。ケースの側面についているスライダーを上下に操作するだけで、時刻表示モードからクロノグラフ機能モードへ、また、クロノグラフ機能モードから時刻表示モードへ切り替えることができるのです。 Metamorphosis(メタモーフォシス)という名前は、2つの機能と「変身」過程の両方にちなんで付けられました。

1つ目の顔 - 時刻表示

2つの別々のダイヤルに異なる機能を表示するタイムピースというコンセプト自体はめずらしいものではありませんが、Metamorphosis(メタモーフォシス)ウォッチにおける表示の切り替え方法はこれまでに類を見ないものです。大きなドロップ型のケースを備えたこの時計は、時刻表示モードでは、12時位置にある上品なローマ数字をあしらったシルバーカラーとブラックカラーのアワーサークル付きレギュレータータイプのサブダイヤル。8時位置と4時位置の間でアーチを描くレトログラード式センター分針、および大型のセンター秒針によって時刻が表示されます。

ダイヤル下半分の6時位置には珍しい円形の針式日付表示が配されています。手巻きムーブメントは完全に巻き上げられた状態で約55時間のパワーリザーブを有し、直径47mmの18Kホワイトゴールドケースは、曲面サファイアクリスタルのケーストップと、透明なサファイアクリスタルのケースバックを備えています。

しかしながら、この時計の最も印象的な機能は恐らく、ケースの左側にあるスライドでしょう。スライドを10時位置から8時位置に押し下げると、およそ15秒間続く変貌のプロセスが始まり、時計が、単純な時刻表示からクロノグラフ表示へと「顔」を変えるのです。

2つ目の顔 - クロノグラフ

この変貌はまさに劇場での場面変化に例えられます。ダイヤル下半分の4つのウィングが開き、たがいに下にスライドして、ダイヤルの中央部分の下で左右に消えていきます。レギュレータータイプのアワーダイヤルでも、2つのウィングの同じような動作が起こります。すべてのウィングが開くと、6時位置に小さなサブダイヤルが浮かび上がり、日付表示針を「飲み込む」という仕組みです。

回転ディスク式のこのサブダイヤルが、クロノグラフの分積算計として登場します。クロノグラフ自体は、スポーツ計時という時計の第二の機能を強調するため、アラビア数字と赤いマーカーを備えています。そのまま残った針とダイヤルは、クロノグラフとしての新しい役割を果たします。

このモード切り替えを純粋な機械的手段で実行可能にするために、ジラルダンとオルニーの2人は、自身が持つ時計製造技術を出し合い、自動装置の製作に利用できる手法を探究しました。これは、時計製造のメッカ、スイスのジュラ山脈においては長く実行されてきた作業です。伝統とイノベーションの完璧な融合のもと、生み出された革新的なトランスフォーメーションメカニズムは、全て手作業で組み立てられたクロノグラフ・ムーブメント(MB M 16.29)をベースとしています。

劇場で2つのシーンの間で舞台セットが突然変わるように、モード切り替えに伴うフェイスの変化の速さには驚かされます。
この時刻表示モードからクロノグラフ機能モードへの変換をつかさどる機械装置は、産業用ホイストの原理に基づいており、オート・オルロジュリのファンを夢中にさせ、また高く称賛されています。
そして、「コレクション ヴィルレ1858」シリーズの他の時計と同じように、567点のパーツは全て、品質、外観そして製造(殆どが手作業)の点において、スイスの長い時計製造の伝統を象徴している厳格な基準を満たしています。

28本のみが限定生産されるMetamorphosis(メタモーフォシス)ウォッチの製造に要する技術等は特許により保護されていますが、モンブランはあえてこの特許を、考案者である2人の時計職人の名前で登録しました。これは、彼ら自身による会社設立を支援するためです。そして、彼らが考案した革新的なタイムピースの製作は、ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所の支援なしには不可能だったでしょう。彼らは1年以上にわたって、ヴィルレで働くデザイナーや時計職人たちの協力を得ました。その極めて複雑なメカニズムは、ミネルバ・オート・オルロジュリ研究所の時計職人たちによって代々培われてきた奥深く豊かな専門知識があって初めて可能となったのです。

モンブラン・マニュファクチュール・ヴィルレは大胆に将来に目を向け、洗練と完璧の精神の下、時間を征服したいという永遠の探求を象徴する価値ある新たなシンボルを生み出す、創造的な時計製造技術を奨励しているのです。

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